《MUMEI》

昂る感情のせいで、涙が溢れてきた。

仮にも同じ両親を持ちながらも、己が半身は闇のモノと化してしまった。

元より、この血をもって生まれたことより、自分がただの人間だとは一度たりとも思ったことは無かった。

だが、あえて人としての道を外れようとも思わなかった。

例えそれに近い道に進んだとしても、必ず引き戻せる自信があったのに…。

けれど目の前の自分は、闇の道を進むことを決めてしまった。

それは血族の次期当主としても、普通の女子高校生としても許せることではない!

「…終わりにしよう。マノン」

マカは静かに息を吸った。

そして右手に気を溜める。

屈み込み、一気に走り出す!

マノンの首を狙って。

しかし…。

「遅いよ、姉さん」

無邪気な笑顔に、一瞬手が揺れた。

その隙に攻撃の腕を捕まれ、地面に体を叩き付けられた。

「がはっ!?」

肺の空気が全て抜けた。

右腕と首元を捕まれた。

抗おうとしても、体への衝撃のせいで指一本動かせない。

ノドを締められ、空気が漏れる。

「ひゅっ…」

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