《MUMEI》
灰燼に・・
「猫〜〜〜〜〜!!!」
ガバッと起き上がるエミ。殴られた後頭部を押さえながらキョロキョロと周りを見回す。
「あれ?猫、何処行った。」
む〜〜と考え込む。どうやら夢を見ていたのだと納得。やや離れた所に倒れているジュレイドを見つけ、駆け寄る。
「ジュレイド〜起きろ!!」
ゲシ!
容赦なく蹴り起こす。
「う・・・ぐ・・いつもの事だが理不尽極まりないな・・」
蹴られた腹部を押さえ立ち上がるジュレイド。
「彩詩は・・くっそ!一撃で気を失ったって訳か。」
やや離れたところで強い魔力が2組。
「どっちだ・・」
二組の魔力を感知しながら考え込む。
「こら!!ジュレイド、先輩を無視するな!!」
黙り込んだジュレイドに不満顔で右ストレートを叩きこむ。
「だ〜〜!!こっちは忙しいんだ!!邪魔するな。」
ジュレイドがエミに対して怒鳴るが・・エミはこっちを見ていない。
「ジュレイド、あれ・・・」
呆然と見上げる空。彩詩とハンディングが壮絶な戦いを演じている。
「嘘だろ・・二人とも魔力の消費量がおかしいだろ!!たかが守護騎士団の長が持つレベルじゃない・・」
「ジュレイド・・あんな所に柱なんてあったけ?」
今まで見上げていた空とは反対方向を示すエミ。そこには大地が起立していた。
「・・・・・・・なんだよ、ココの守護騎士は!!おかしすぎるだ」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!
轟音に声が掻き消される。振り下ろされた大地。その一撃は離れているココにまで暴風を起こす。
轟音が収まり、暴風が吹き荒れた後、立っているジュレイドと飛んできた石に当たって頭を押さえているエミ。
「痛〜〜〜〜い!!ナニ!私がナニをしたって言うの!!」
「いや、味方に弾丸打ち込んだり色々してたと思うが・・」
ボソリとつい突っ込むジュレイド。
「・・・ジュレイド、気のせいだったらごめんね?私を気絶させたのって・・・」
思い出したようにジーーーっとジュレイドの顔を見ながら問いかけるエミ。
「・・何のことだ?」
「じーーーー」
「・・・・・・」
「じーーーーー」
「・・・・・・・なんだよ。」
「アヤシィ・・」
「先輩が悪いんだろうが!敵と味方の区別も」
ドン!!
いつの間に持っていたのか魔導銃を撃つ。
「危な!!いきな」
ドン!ドン!
「避けんな!!そこに直れ!」
ドドドド!!
「ふざけんな!!怪我じゃすまないだろうが!!」
必死に避けながら、エミを説得するジュレイド。やや離れた空では彩詩とハンディングの戦いが終わり、二人が地面へと落ちていく姿が・・
「黙れ!!石が当たったのも、給料が安いのも、最近派手な仕事が無いのも!私の昇進が無しになったのも全部ジュレイドのせいだ!!だからそこに直れ!!」
ガチャン!
何処からとも無く、大きな魔導銃を出す。
「神威!!」
ドゴォォ・・・ン
着弾、爆発、炎の華が咲く。
「この!!」
ドゴォォ・・ン
「おいこら!!バカ、やめろ!!死ぬだろうが!!オィ!!」
何とか避けているが、所々に傷を負ったジュレイドの必死の説得も虚しく・・
「バカって言った!!もう許さないからね!!!」
バララララ・・
5センチほどの箱を周囲にばら撒くエミ。
「ジェノサイドモード起動!!浄化せよ!」
地面にぶつかると同時、箱型の物体が、内蔵されている魔法を起動、異次元に収納されていた物体を召還する。
「消し飛べ!!神の名において!!」
箱型の物体一つから、2メートル近い大きさの柱が3つ召還され地面に突き刺さる。柱からは、上空に向かって幾つもの弾丸が発射され、上空で分裂、降り注ぐ。
「きゃはははは!!みんな消えちゃえ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
壊れた笑い声と共に降り注ぐ弾丸の雨。狙いなどは無く、クリエイトフィールドを覆うように降ってきた。

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