《MUMEI》 . 黙り込んだわたしを見て、川崎先生は勘違いしたのか、ニヤリと笑う。 「そうか、まぁ、あの李 春蘭相手じゃ、仕方ないな」 うれしそうな顔をする先生に、わたしはイラっとして、違います、とはっきり言った。 「原因はいろいろあるけど、たぶんアゲ嬢が発端です」 彼女たちにばったり出くわしてから、一気に関係がこじれたのだ。 わたしの答えに、川崎先生は、は?と眉をひそめる。 「アゲ嬢って、なんのことだよ?」 …………質問ばっかりだなー。 イライラしたわたしは、川崎先生を睨み、挑戦的な口調で言った。 「先生って、モテないでしょ?」 わたしの台詞に、先生は眉間にシワを寄せる。わたしはバカにするように鼻を鳴らした。 「ひとの話にいろいろ口出してさ。そーいうのウザいって。モテないヤツがやりがちな…」 そこまでまくし立ててしまってから、ハッと口をつぐんだ。 先生の顔が不動明王のような、恐ろしい顔つきになっていたからだ。 …………しまった!! つい思ったことを、正直に言ってしまった!! . 前へ |次へ |
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