《MUMEI》 「まあ杞憂で済めば良いんですけどね」 語っていた老女は、ふと周囲をキョロキョロ見回した。 「あら、いやだ。そろそろ時間だわ」 「そうですか。それでは最後の良き旅を」 「ええ、ありがとう」 老女はにっこり微笑んで、歩いて行った。 老女は自分がどこへ行けば良いのか、分かっていた。 迷うことなき足取りが、それを物語っている。 ―が、老女は珍しい方だった。 普通なら、エライモノになっていることが多い。 まあそれは彼等が対応することになっているから良いのだが、わたしの場合、『迷子』の対処が難しい。 前へ |次へ |
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