《MUMEI》
夜・迷子
ふと、感覚的に何かが引っかかった。

…この感じは、迷子がいる。

しかもかなり近くに。

わたしは迷子の元へ、足を向けた。

歩いて行くと、目の前に周囲をキョロキョロしている男性を見つけた。

「こんばんわ」

声をかけると、男性はぎょっとして振り返った。

「どっどこの地下鉄だっ! ここは!」

必要以上に声を張り上げ、男性は言った。

黒い服装に身を包み、しかし男性の体からは血の匂いが漂ってくる。

普通の人間では分からないほど、微かだが…。

「階段を降りたらこんな所にっ…!」

「まあ地下鉄ですから。ここは来られる人が限られているんですけどねぇ」

極稀に、彼のような人が来る。

「出口を探していらっしゃるんですよね? ご案内しますので…」

「いっいや、このまま電車に乗る」

…やっぱり。

まあ何となくは予想できる答えだ。

「…ご乗車ですか。では少々お待ちください」

わたしは腰に付けていた機械を取った。

そして操作すると、機械から小さな切符が出てくる。

「こちらをどうぞ。乗車券です」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫