《MUMEI》 翌朝「ふあ〜あ」 「おっきな欠伸だねぇ。ルカちゃん」 朝、地下鉄にはすでに多くの人が来ていた。 会社や学校に行く為、あるいはあたしみたいに帰る為に。 「はひ…。さすがに徹夜はこたえます」 職場から上がってきて、給湯室から出たら、中年の駅員がすでに来ていた。 コーヒーをもらい、地下鉄の駅が開く準備を、部屋の隅で見ていた。 この光景は結構好き。 若い駅員の人は、外の方の準備に出ていた。 「ははっ。…どうだった?」 「まあとりあえずは…。もうしばらくは続くそうですけど」 「そうだね。ここらは特に、霧が濃いから」 「…慣れてますね」 「だてに二十年以上もここにいないよ」 にっこり微笑み、あたしにサンドイッチとおにぎりを渡してくれた。 どちらもコンビニのものだ。 「あっ、どうも」 「これを食べて、今日はゆっくり休むといい。まだバイトは続くんだからね」 あたしは笑みで返し、部屋から出て行った。 そして電車に乗り、目的地で降りた。 ここから歩いて十分もしないところに、あたしの借りているマンションがある。 「けど、霧がスゴイなぁ…」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |