《MUMEI》 早朝だからかもしれないけど、3メートル先が見えにくいぐらい濃い。 それに少し肌寒い気もする。 あたしは歩き出した。 早くもらったサンドイッチとおにぎりを食べて、眠りたかった。 けれどあったかい飲み物も欲しくなって、コンビニに入った。 そしてコーンポタージュとココアの缶を持って、レジに並ぶ。 そこでふと、朝刊の見出しが目に映った。 けれどすぐに順番が来て、あたしは会計を済ませ、コンビニを出た。 ―朝刊の見出しはこうだった。 このところ、変質者の出現で世間は騒いでいた。 霧の深い夜、突然カミソリで切りつけてくるという。 そして2・3回切りつけた後、笑いながらその場を後にする。 警察は捜索していたが、それでも犯人は見つからず、人々はおびえていた。 新聞では新たな被害者が出たと書かれていた。 けれどもう―次は出ない。 「やれやれ…。早く霧がはれないかなぁ」 霧に息を吐きかけながら、あたしはマンションに向かって歩いた。 前へ |
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