《MUMEI》 . そんなどうでもいいことを考えていると、だんだん面倒臭くなり、 わたしは、…いいよ、と小さく答えた。 ふたりで、並んで街を歩く。 道ゆく人々が、わたしたちを振り返り、嬌声をあげる。 義仲と一緒にいたときもそうだったけれど、 でも、今は−−−。 わたしは顔をあげた。将門のきれいな顔がそこにあった。 彼は涼しげな表情を浮かべていて、周りの目など気にしているそぶりもなかった。 −−−義仲と一緒にいたときは、 ふたりともナルシスト全開で、 勝ち誇ったように街を闊歩していたけれど、 今は、そんな気にならない。 テンションが、上がらない。 それがなぜなのか、わからないけれど。 将門は、CDショップに行きたいと言ったので、わたしはおとなしく従った。 CDショップは多少混雑していて、たくさんのひとが、それぞれ好きな曲を物色していた。 将門も真剣な眼差しで、CDを選び始め、わたしとの他愛ない会話は消えた。 . 前へ |次へ |
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