《MUMEI》

「コイツさー、彼女出来たんだって!」

「あー、水瀬?」

「う、バレてた」
顔熱い。乙矢大親分には敵わないっす。

「すぐ顔に出るからな。
それが二郎の持ち味なのだけれど」
大親分、笑顔が素敵だ、胸キュンてしそう。

「スゲー俺気付かなかった」
「七生はいつも自分でいっぱいいっぱいだものね。」
嫌味言い過ぎか?

「二郎はそうやって常に安心して話せばいいのに。いつも緊張して固くなりすぎだ。」
乙矢に頬をつねられた。

「努力しまふ……」

「水瀬にも少しくらい毒づいてもいいんじゃない?」
乙矢は一言残して小さくなってゆく。

「なんか、じろーには優しいよな」
七生は口を尖らせる。

「人徳かな?」
………なんちゃってい。

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