《MUMEI》
移動手段
部屋を出たクーは、廊下を歩き、エレベーターに乗った。


チン


着いたのは、屋上。


そこには、ヘリポートがあった。


前にも述べたが、このマンションはごく普通の一般庶民用で


住人もほとんど一般階級の人間達だ。


海面が上昇した影響で、車と船を使うよりは、空を使った方が効率的になり


空の交通網が発達した結果、このようなヘリポートがごく普通に存在するのだった。


もっとも、今クーが待っているのは、一般用の小型飛行機ではなく


ある企業が用意した、小型ヘリだった。


その企業は、ネオンの働きにより、今ではクーの一番の得意先になっていた。


さて、今日は何をするのかな?


近付いてくる小型ヘリを見ながら、クーはいつも通りマイペースだった。


この企業


O2(オーツー)カンパニーは、いつもその場で仕事の指示を出す事が多かった。


それは、大企業だからとクーを見下しているわけではなく、きちんとした理由があった。


「やぁ、クー」

「こんにちは」


社長自らが運転して現れたのに、クーは冷静だった。

そして、クーが助手席に乗り込むと、ヘリは再び動き始めた。

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