《MUMEI》
思わぬ再会
.


スタスタと、脇目も振らず、街中を歩いた。

わたしは、まっすぐまえを見たまま、足早に進んでいく。


歩きながら、



…………やっぱり、わたしは、


義仲のことが………。



自分の気持ちを再確認して、そうしたらいても立ってもいられずに、かばんから携帯を取り出した。



とにかく、伝えなければ。

わたしの、ホントの想いを。



−−−手遅れになるまえに…。



携帯を、じっと睨みつけているわたしの背中に、


「あら?」


柔らかい女のひとの声が、届いた。

わたしは、なんとなく振り返り、

そして、目を見張る。



黒髪のロングヘアーに、上質な白い麻の、ノースリーブワンピース。しなやかで細い足には、ピンヒールのサンダルを履いている。

キリッとした涼しげな目元には、ゴールドラメの入ったブラウンのアイシャドー。官能的な少し厚い唇には、見覚えのあるバーミリオンのルージュ…。


ひとめで、彼女が誰だかわかった。





「ルカさん…?」





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