《MUMEI》 . ルカさんは、学校帰り?と尋ねてきたので、わたしは頷いた。 「ルカさんは、これから仕事ですか?」 尋ね返すと、彼女は軽く首を横に振った。 「今日はお休みなのよ。だから、ネイルサロンに行って来たの」 ホラ、と自分の指先をわたしに見せる。 きれいな形をした爪の上には、ボルドーの色が丁寧に塗られていた。 わたしが、きれいな色ですね、とコメントすると、ルカさんは、ありがとう、とうれしそうに笑った。 それからルカさんは、わたしに言った。 「このあと、時間ある?せっかくだから、お茶でもしましょうよ」 わたしは少し迷ったが、ふと、義仲が言っていたことを思い出す。 −−−ルカさんは、親父の『コレ』だから… そう呟いて、小指を見せた義仲。 義仲と彼のお父さんの間には確執がある。 その原因を、ルカさんなら知っているかもしれない。 そう思いついたわたしは、ルカさんのきれいな顔を見つめ返して、 「ぜひ…」 と、作り笑いを浮かべて答えた。 ****** 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |