《MUMEI》

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ルカさんは、学校帰り?と尋ねてきたので、わたしは頷いた。


「ルカさんは、これから仕事ですか?」


尋ね返すと、彼女は軽く首を横に振った。


「今日はお休みなのよ。だから、ネイルサロンに行って来たの」


ホラ、と自分の指先をわたしに見せる。

きれいな形をした爪の上には、ボルドーの色が丁寧に塗られていた。

わたしが、きれいな色ですね、とコメントすると、ルカさんは、ありがとう、とうれしそうに笑った。

それからルカさんは、わたしに言った。


「このあと、時間ある?せっかくだから、お茶でもしましょうよ」


わたしは少し迷ったが、ふと、義仲が言っていたことを思い出す。



−−−ルカさんは、親父の『コレ』だから…



そう呟いて、小指を見せた義仲。

義仲と彼のお父さんの間には確執がある。

その原因を、ルカさんなら知っているかもしれない。



そう思いついたわたしは、ルカさんのきれいな顔を見つめ返して、


「ぜひ…」


と、作り笑いを浮かべて答えた。





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