《MUMEI》 そして人気のない所で、わたし達は向かい合った。 「ここならヘーキね」 「あっああ…」 でも彼は緊張しているのか、動かない。 木陰の中でも分かるほど真っ赤な顔をしている。 もう…本当に可愛い。 街で見かけた時から、わたしは彼に夢中。 だからわたしの方から、彼にキスをした。 「っ!」 あたたかく、甘い唇。 ちょっと触れただけで、すぐに離れた。 「えへへ…」 自分の顔が熱くなっていく。 そしてニヤけてしまう。 「〜〜〜!」 「今度はキミからしてね」 そう言って彼の体を抱き締め、再びキスをする。 今度は触れるだけの長いキス。 彼も恐る恐る震えながら抱き締め返してくれる。 わたしはふと目を開け、彼の顔を見た。 わたしは彼の全てが可愛いと思えてしまう。 きっと言ったら怒るから言わないけれど、いつでも思っている。 そしてわたしも言わないだろう。 だって年上だから。 彼に大好きなことは伝えて、夢中なことは隠しておこう。 前へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |