《MUMEI》

二人の笑い方に、ミナはホウキを持つ手に力を込めた。

早くしないと、マカが戻ってきてしまう。

こんな二人と一緒にいるところ、ホントはクラスメートにだって見られたくはない。

「学校の隅に、プレハブ小屋あるでしょ?」

「あそこでちょっと遊ぶんだ。大丈夫、どっちかって言えば、ホラー系だから」

「肝試しみたいなもの?」

「そうそう! それで夜の七時に、学校の門の前に集合ね」

「遅れちゃダメだかんね」

「って、ちょっと!」

「後一人、誘わなきゃいけないから」

「じゃ〜ねぇ」

二人はミナの返事も聞かず、教室から出て行った。

入れ違いに、マカが戻ってきた。

「お待たせ、ミナ。…って、まだ掃除終わってないのね」

「あっ、ああ! ゴメン、マカ。すぐに終わらせるから!」

ミナは慌ててホウキを動かし始めた。

けれど頭の中は、アキとユマのことでいっぱいだった。

マカには絶対に言えない、言いたくない過去が、ミナにはある。

実はミナ、中学時代は少しグレていた。

ギャル風の格好をし、行動や考え方もそっち寄りになっていた。

両親が仕事一筋だった為、寂しさから行っていた。

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