《MUMEI》

見上げた視線の先には、幾つもの窓灯りが浮かび上がらせる森タワーのシルエットが、天高くそびえ建っている…。



バタ子は、その美しい建造物の姿を見上げながら、一人の男の存在を思い起こした。



(そういえば……おむすびマンのことをすっかり忘れてたわ…。)



それは自分との関係を、運命共同体とまで言って説得したパートナーの存在だった。



(でも……たぶんもうバイキンマンに捕まってるわよね…。


お気の毒……今ごろは生きちゃいないでしょうね…。)



バタ子は自らの野望の道具として、おむすびマンを巻き込んでおきながら、彼を救い出す策を考えることも無く―――…



それどころか、まるでトカゲの尻尾のように切り捨てるだけだった。

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