《MUMEI》
入寮式中6
「非常にわかりにくい表現ですが、会長は高橋君を気に入ったから守るみたいですよ」

「今の…が?」


引き続き、変態を押さえ込みながら、黒崎先生は頷いた


さすが、付き合い長いだけある


と、言いたいけど


<とっとと出てこい、のろま>

「はいはい!」


絶対ただの気休めだ!


あいつは俺様以外の何者でもない


歩き始めた俺には


「あからさまに守るなんて言ったら、会長のファンがうるさいですからね。

それに、会長は…

基本、本命には不器用なヘタレなんですよ

まぁ、それは副会長もですけど…」


そんな、黒崎先生の呟きは聞こえていなかった


「ダメだよ、せー君は僕の!」


変態の声は聞こえたが、無視する事にした


にしても、視線、イテーな


会場は静まりかえり、拍手も歓声もしなかった


…平凡顔だからな、俺


他のメンバーみてーなイケメンじゃねーし


それでも、顔を上げて真っ直ぐ背筋を伸ばしてステージまで歩いた


…て


俺、どこで止まればいいんだ?


会長の隣は嫌だし


一ノ宮先輩の隣は埋まってるし


神澤の隣もなー


いっそ司会の成瀬先輩の所まで行くかな

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