《MUMEI》 . わたしは彼女の端正な顔立ちを見つめながら、言った。 「ルカさんから見て、義仲のお父さんは、どんなひとなんですか?」 わたしの質問に、ルカさんは少し考え込んでから、 寂しそうに、ほほ笑んだ。 「あまりにもまっすぐで、それゆえに不器用なひと…かしらね。義仲くんと、とても似ていると思うの」 ルカさんは、行きましょう、とわたしに声をかけ、会計へ向かった。 わたしは彼女の後ろ姿を、ただじっと見つめていた。 ****** お店を出ると、すっかり暗くなっていた。 「ごめんなさい、引き留めてしまって」 朗らかな声で詫びるルカさんに、わたしは笑顔を見せた。 「こちらこそ、ごちそうさまでした」 素直にお礼を言うと、彼女は満足そうにほほ笑んだ。 ルカさんはタクシーで帰ろうと誘ってくれたのだが、わたしはそれを丁寧に断り、適当に挨拶をして、お店のまえで別れた。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |