《MUMEI》 . 考えるのに夢中で、周りを一切見ていなかった。 −−−すっかり、油断していたのだ。 背後に、不審な気配を感じ取るまで、 いつの間にか、人通りの少ない路地に迷い込んでいたことに、全く気づかなかった。 …………なに? 後ろに、誰か、いる? 嫌な予感がして、勢いよく振り返ったわたしの口に、ハンカチが宛がわれる。 嗅いだことのないような、薬品の臭いに、わたしは目眩がした。 驚いて逃げ出そうとしたわたしの身体を、逞しい男たちの腕が絡み、あっさり捕らえられてしまう。 抵抗しようとしたが、なぜか意識が朦朧とし、身体から力が抜けていく………。 記憶が途切れる、その直前まで覚えていたのは、 纏わり付く、薬品の臭いと、 わたしの周りを取り囲む、数人の黒いスーツを着た謎の男たちの姿だった−−−。 ****** 前へ |次へ |
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