《MUMEI》

中に入ると、またも絶句した。


中央に真四角の灰色をしたものが浮いている以外、
全てが白なのだ。


壁も床も…全てが白。


グレイドはそんな俺を知ってか知らないか、
翼を広げると飛び立った。


そして中央の、
灰色で真四角の所まで来て止まる。


「クラウド、こっちまで飛んで来るんだ。」


こちらを見下ろして、
やけに真剣な表情をして言う。


「無理ですよ!」


だって俺、飛べないもん!


全力で首を左右に降り、
全否定する。


グレイドは溜め息を一つついた。


「それでも飛ばないといけないんだ。」


「どうしてですか?」


「ここの家が無駄に防備されているからだ。


お前は今俺と一緒にいるから無事だが、
ここに住むようになるとそうはいかない。」


「??」


「お前一人だけでこの家に入ったら、
殺されるぞ。

確実に。」

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