《MUMEI》 イケメンとのキス「何かキミって、エロいね」 「………はい?」 何を言われたか、一瞬理解できなかった。 と言うより、頭が真っ白になった。 生まれて十七年。 何事にも平凡で無難に生きてきた私に対し、目の前のオトコは一体何を言い出すのか。 目の前のオトコは、学校で1番イケメンだと言われている。 言わばカリスマ性のある、美青年だ。 いつも誰かに囲まれていて(主に女の子)、何事にも率先してまとめ役をしている。 流行を取り入れた格好をしているが、学生としての態度は真面目で優秀。 だから彼は多くの人に好かれる。 そんな人と私が二人っきりで一緒にいる理由は、たまたまだ。 放課後、食堂近くの休憩場でバッタリ会った。 そして紙パックのオレンジジュースを奢ってくれた。 一口飲んで、一息ついた途端のセリフ。 思わずノーリアクション。 「ジュースの飲み方もそうだけど、存在自体が何となく」 「………地味、ではなくて?」 「うん。エロい」 …何かの聞き間違いかと思ったけれど、違ったみたいだ。 彼はにっこりと微笑み、缶コーヒーを飲んだ。 「自覚なかった?」 「全然」 次へ |
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