《MUMEI》
愛護
篠さんとの出会いは、乙矢の仕事上の繋がりだった。

就職活動連敗中の二郎の姿を見るに見兼ね、乙矢のコネを利用しさりげなく俺が履歴書を出した。

何も知らない二郎に嘘八百を並べ無理矢理受けさせ、写真だと分からない生身の二郎の良さに相手も好感触で面接後、即合格。

ちなみに、乙矢のコネでもあるがきいさんのコネでもある。
しかし、二郎には才能があった。

二郎は努力するタイプで一生懸命だし、その姿は誰でも惚れてしまうだろう。

何も知らない二郎に手取り足取り教えてくれたのは篠さんだ。
律斗の名前までは知らなかったが、妻子持ちで奥さんが心臓病を抱えていることも聞いていた。


篠さんは二郎のことを理解してくれて、よく使ってくれた。

奥さんの手術のために海外に行き、その後に二郎も仕事の関係で海外へ赴任した際は快く部屋を提供してくれた。


奥さんが亡くなったのを篠さんは内密にしたかったらしく、俺には帰国後、教えるつもりだったそうだ。
そんな中の篠さんの事故死だった。

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