《MUMEI》

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「「!!!」」

ジンとリツの二人が同時に立ち上がり、振り返り、構える



妖魔は二振りの剣を構えた

「…ミノタウルスか!」

ジンは左手で
ホルスターから黒円柱を取り出す。

「リツ」

「え?」

「…アイツは俺が、やる」

黒円柱の両端の半球状の部分に日光が当たり

中が一瞬透けて見えた


…私には。





ミノタウルスが剣を振り回しながら
突進して来る

「レスカっ!」

ジンがレスカの前に立つ

リツは不機嫌そうに
FSLから出した剣を再データ化して収納していた



かのレスカは微笑んだ


「心強いね。でも…大丈夫だよ、コイツくらいなら」

「…でも」

「大丈夫」


レスカが再びジンの前に歩む


そして右手を妖魔に向けた


碧が輝く


ジンは心配そうに観察していた。

…こんなトコロで旅が終わっては
たまらない。





レスカが切り付けられるまで残り数メートル


「セ・ド」

彼女が短く言うと
伸ばした右手の平から朱黒の触手が無数に噴出し、

妖魔を取り込み、触手ごと消えた






「「………」」

ジンとリツは絶句








言ってみれば、ドン引きである。









と、同時に


彼女を怒らせないようにしよう、
と思った二人であった。

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