《MUMEI》
入寮式中8
<あー、…高橋誠、です>


とりあえず、マイクを押し付けられたから、名乗ってみた


<さっき会長から言われたように庶民だし、ここの事はまだよくわかりません。

なのに、生徒会補佐とか、正直大役過ぎて戸惑ってます

頼まれた事は、できるだけやる主義だけど、無理だったり足を引っ張るようならやめるつもりでいます>


周りの動揺は無視して、正直な気持ちを話す


つーか、多分一番動揺してるの俺だと思うし


<とにかく、よろしくお願いします>


最後に笑って、頭を下げた


パチパチと、拍手が聞こえた


拍手は、同じステージ上にいた会長以外のメンバーからで


人気者達が拍手したからか、それは食堂中に広がった


「…すごい、かっこいい」


小声で神澤がほめてくれた


「サンキュ」


あー、緊張した


改めて食堂を見ると、一般生徒の顔は、険しくなく


刺すような視線も、だいぶ少なくなっていた


ま、さすがに全員から歓迎されるわけはないよな


…それにしても


「あの、成瀬先輩」

「ん?」

「聖と皐月と、二年二番の先輩、それに、三年の五人がどこに行ったか知ってますか?」

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