《MUMEI》

(またか…)


相変わらず千葉には千秋がマンツー。


1・5ディフェンスを継続する赤高。


「サイドオッケー!!」


「45オッケー!!」


ユキヒロのロングシュートで息を吹き返したか、


普段以上に声の出る赤高。


だが、


千秋からは声が出ていない。


ひたすら千葉の動きを追う。


追う。


隙を見せたらやられる。


直感的にそう感じていた千秋に、


声を出す余裕はなかった。


























「ダメだね。」


赤高ベンチ。


「え?」


クロが何気なく漏らした一言に、


マネージャーの佑香が反応した。


「千秋。
集中すんのはいいけど固くなりすぎ。
緊張してんのかな?」


「千秋くんは結構あがり症なとこありますよ。


でも、


相手が相手ですし…


誰でも緊張しちゃうんじゃ…」


「ふぅ…」


「?」


「スタメンではないとはいえ試合に出るチャンスあげてんじゃん。


もうちょい自信持てよな。


それなりの実績も上げてんのに…。」












(千秋…


お前は猪狩を抑えたことだってあんじゃんよ?


千葉の突破なんて猪狩と比べればどってことないだろ…


早く抑えろ…)

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