《MUMEI》

(猪狩…さん…?)


千葉に迷いはない。


当然ロングだ。


(そっか…)


千葉が打ちやすいよう、


パスを出したポストが2・3枚目、


千秋、


峰田を抑えにかかる。


(こんなとこでつまずいてたら…)


しかし、


千秋はそれを交わす。













(あの人に合わせる顔がない…!!)














(ん…
これは…)













飛び出した千秋は、


千葉の腕を掴んだ。


(離さない…!!)













(それだ…。


気取って綺麗にしようとする必要はない。


千秋の本当の武器は反射速度なんかじゃない。


ただただガムシャラに向かうその姿勢がお前の武器。)


(ぐっ…
これは…
打てない。)


(不恰好でもいいじゃん。)


(しつこい…!!)


(絶対離すなよ。)


「くそッ!!」


(お前が止めることに意味がある。


空気を変えろ。


県内3本指に入る千葉を、


無名のベンチの選手が止める。


さぁ…)


「ピーッ!!」


審判の笛が鳴る。


2度目のフリースロー。


(反撃ののろしが上がったぞ。)

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