《MUMEI》 ・・・ぇ、それだけ?狩月、琴が、床に転がっているボンカーに視線を向ける。 「あぅあぅ・・彩〜・・・!」 彩詩に何かを言おうとしているが、言葉になっていない式夜、夕凪を持つ手がフルフルと震えてる。 「夕凪、何があったの?」 「説明不可。」 夕凪の声はあくまで冷静。 「ボンカー君、何をしたのかなぁ?」 振り返った彩詩。 「ひっ!!」 「あ・・・・」 「・・・」 エミが引きつった声をあげ、ベットの影に隠れる。琴は即座に眼を逸らせたが、ダラダラと冷や汗を流している。 転がってるボンカーの側に居た狩月は気を失って倒れた。 「ボンカー君?式夜にな・に・を!したのかなぁ?私、興味があるんだけど・・教えてくれないかなぁ・・」 周りのヒトの反応など気にした様子も無く、一歩ボンカーに近づく。 声をかけられていることに気が付いたボンカーが彩詩の方を向く。 「え・・・・・・・・・・・・・」 完全に硬直した。良く見ると手がガタガタと震えている。 「説明してもらえるよね?」 「い・・・ぁ・・」 言葉を発することさえできていない。さらに一歩踏み出す彩詩。 「彩詩、ソレは怯えています。冷静になることをお勧めします。」 夕凪が彩詩に対し、冷静な言葉をかける。 「・・・ん。解ってる。」 夕凪の言葉に頷き、大きく深呼吸する。式夜は夕凪を片手で持ったまま、ボンカーを睨み付けている。その顔は未だに赤いまま。 「ふぅ・・これでよし。と言うよりも夕凪、君に聞いたほうが楽なんじゃ・・」 「了解、ですが・・私の予想をはるかに上回る暴挙に出ましたね。彩詩様、もう少し冷静な判断をされるお方だと思っていましたが・・」 「前置きはいいから、説明してよ。」 「そこに転がっているモノが、様子を見に来た式夜に、寝ぼけたフリをして抱きついた、それだけのことです。彩詩様が式夜を抱きしめていたよりも軽く・・だったのですが、式夜が思いっきり殴り飛ばして、追いかけてきた。その後は説明するまでも無いと思います。」 淡々と説明をする夕凪。だんだんと呆れた顔をするエミと琴。 「本当にそれだけ?」 「はい。それだけです。」 夕凪に問い返す彩詩は安心した表情を浮かべる。 「よかった〜・・・ボンカー君、式夜は女性なんだから、抱きついたりしたらダメに決まってるでしょ!寝ぼけてたとしても、ダメ。」 彩詩の言葉にガクガクと頷くボンカー。 前へ |次へ |
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