《MUMEI》 へらっと笑う顔はキライじゃない。 大型犬にでも懐かれた気分だ。 犬はキライじゃないし…どっちかと言えば好き。 でも人間では別っ! 「他を当たって」 「ヤダ。オレはキミが良いんだもん」 ぴきぴきっ。 顔が引きつっていく。 …いっそのこと、警察に相談するか。 このしつこさは絶対に犯罪的だ。 「そもそもアタシの何が気に入ったの? アタシ、アンタに好かれるようなこと、した覚えないんだけど」 元々接点が無かったアタシ達、なのにいきなり告白なんてワケが分かんない。 「え〜。だってキミ、オレのことちゃんと見てくれるし」 「視力は良いわよ?」 「そうじゃなくてさ」 伸びをして、改めて真面目な顔をされると…ちょっと胸にくる。 「外見で人を判断しないっしょ? まともに話を聞いてくれるし、真面目に返事もしてくれる。真っ直ぐにオレを見てくれるキミが好き」 「…って、それってフツーのことじゃない?」 「今じゃ逆に難しいよ。だからこそ、キミが良いんだ」 まあ確かに。 全く接点が無かったワケじゃない。少しぐらいは面識があった。 その間に、アタシの良い点を見つけてくれたのは嬉しいケド…。 前へ |次へ |
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