《MUMEI》

「…どーも軽く聞こえてしまうのよね」

悪いけど、どうしてもそこは変えられない。

「じゃっ、とりあえずお試しってのはどお? それでダメだったら、オレも諦める」

…どーしても、このまま引き下がるっていう選択はないらしい。

「…まっ、今ヒマだし、しばらくなら良いわよ」

「マジで? やりぃ!」

本気で嬉しそうな顔をされると、まあ別に悪い気はしない。

…この後のコイツの取り巻き達との戦いの日々は、とりあえず置いておこう。

「じゃさじゃさ! キスしよ〜よ」

いきなりコレか…。

このテンションは、はっきり言ってウザイ。

けれどまあイヤではないし…。

「まあ…良いけど」

そう答えると、わずかに顔を赤くして近付けてきた。

だから眼を閉じて、応えた。

柔らかな唇は、何故かとても甘く感じられた。

「ふふっ…」

大切なモノにでも触れるように頭を撫でられた。

「これからもいっぱいイチャイチャしよ〜ね!」

そのままハグされる。

………やっぱり犬に懐かれた気分。

でもまあ、やっぱり悪い気はしない。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫