《MUMEI》 . わたしはお腹に力を入れて、半身を起こし、自由がきく両足で地面を蹴って後ずさった。 しかし………。 暗闇の中に、何人かの人影がぼんやりと浮かび上がった。 例の、スーツ姿の男たちだった。 彼らはみんな、同じサングラスをして、無表情のまま、わたしを見下ろしている。 得体の知れない集団に怯えたが、わたしはキッと彼らを睨み返す。 「なんなのよ、アンタたち!!いたいけな美少女を、こんな辛気臭いトコに連れ込んで!!」 死刑よ、死刑!!とわめく。 負けるわけにはいかなかった。ここで弱気になれば、奴らの思う壷だ。 いきり立ったわたしを見て、男たちは顔を見合わせて首を傾げた。言ってる意味がわからない、と言わんばかりの顔つきだった。 バカにされたと思い、わたしはイラっとする。 「どーでもいいから、縄、解きなさいよ!?20秒以内に解かないと、ひとりずつ頭かち割ってくわよ、コノヤロー!!」 シャーッ!!と猫のように威嚇する。 しかし、男たちは怯むどころか、ますます怪訝そうな顔をするばかりだ。 そんな男たちの様子を見て、 …………勝てるッ!! と、根拠のない自信を持ったのが、間違いだった。 . 前へ |次へ |
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