《MUMEI》

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彼女は、日本語が不得手なはずで、教室でも、不自然な言葉を使っていた。

けれど、目の前にいる、春蘭さんは……。


「わたし、これでも射撃の腕前には自信があるの。今は、わざと外してあげたけれど、次、抵抗したら、頭が吹っ飛ぶわよ」


この上なく美しくほほ笑んで、恐ろしいことを、サラリと口にする春蘭さんに、わたしはビビりながらも思い切り睨み返す。


「日本語、ペラペラじゃん!!あのカタコトは演技だったワケ!?」


春蘭さんは冷めたような目をして、もちろん、と頷く。


「言葉足らずな方が、みんなわたしに油断するでしょう?自然と、わたしに協力してくれるでしょう?」


当たり前じゃない、と呆れたようにため息をつく。


わたしは必死に春蘭さんを睨みつける。


「…どういうつもりよ。こんなトコにわたしを連れて来て、こんな手荒なマネして」


さっさと縄解けッ!とまくし立てたわたしに、春蘭さんは拳銃を持ったまま、腕を組んだ。

そしてあからさまにため息をつく。


「表立って話せない内容だから、拉致してきたんじゃない。あなた、意外に頭悪いのね」


見下げたような目をする春蘭さんに、本気でキレそうになった。


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