《MUMEI》
話し合い
.

わたしは、話ってなによッ!?と金切り声で叫ぶと、彼女はゆったりと優雅な微笑を浮かべる。


「義仲のことに決まってるでしょう?」


当然のように言ってのける春蘭さんに、わたしは噛み付く勢いでまくし立てた。


「そんな話なら、クラスメイトらしく教室で言え!わざわざ拉致るな!!」


アホかッ!と付け加えた。

彼女は目を細めてわたしを眺め、わたしのツッコミを無視して続けた。


「…義仲はヤクザの息子よ。しかも、日本の裏社会を牛耳る、大きい組織」


「そんなこと、とっくに知ってるわいッ!」


わたしの返事に、春蘭さんは意外そうな顔をして、あらそう?と言ってのけた。


「あなた、それ知ってて義仲に付き纏っているの?」


たいしたひとね…と皮肉って言う。わたしはムカッとした。

春蘭さんは肩を竦めて、話を続ける。


「義仲の家、『櫻鷲会』と、香港黒社会のトップ『白龍社』…わたしの家とは、かねてから、よきパートナーとしてお互いを助け合ってきた。そのふたつの組織は、とても親密な間柄にあるの」


わたしは眉をひそめる。裏社会の話をされても、さっぱりよくわからない。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫