《MUMEI》 . 春蘭さんは、気にせず続ける。 「今回の婚約の件も、組織絡みであるのには違いないわ。でもね、兄弟の契りを交わせば、『櫻鷲会』と『白龍社』はより強大な権力を固持することが出来て、アジア1の組織になれる…」 言い終わったのと同時に、そんなの知るかッ!とわたしは勢いよく言い返した。 「そんなマニアックな話されても、こっちはちっともわからないっつーの!!」 わたしの声に、彼女は涼しい顔で、そうでしょうね、とあっさり頷く。 「あなたのようなひとには、わたしや義仲のバックグラウンドをどんなに丁寧に話しても、理解出来ないでしょう」 だったら最初から言うなッ!とつっこんだわたしをまた無視して、彼女はほほ笑む。 きれいな唇を動かして、だから…と呟いた。 「あなたは、義仲から手を引きなさい」 ……。 …………。 ………………はぁ?? . 前へ |次へ |
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