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《MUMEI》 . わたしは、ゆっくり唇を開いた。 「メリットなんて、なにもない」 わたしの小さな呟きに、春蘭さんは満足そうにほほ笑んだ。 その微笑を見つめ返して、 でも、 と、続ける。 「わたしの方が、義仲に大切に思われてる」 …………義仲はいつも、わたしの行動に目を配り、 わたしの気持ちをそれとなく察してくれる。 ムカつくくらい、ふざけた態度ばかりだけれど、 それは、彼の愛情の裏返しだと、わたしは知っているから。 「生きる世界とか、体裁とか、メリットとか関係ない。どんなことになっても、義仲に選ばれるのは、わたしなんだから！」 強烈に目が覚めた。 ……………そうだ、 それだけでいいんだ。 もう、迷わない。 . 前へ |次へ |
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