《MUMEI》

「これはこの家の脳のようなもの。


これに個人のデータを登録すれば家はその人を認知し、
家にいれても安全だと判断する。

だが登録するには必ず一人でしないといけない。」


「なんでですか?」


「ったく質問が多いなぁ。」


「すみません…。」


「まあいい。

このプログラムにはな、
カメラがついているんだ。

そしてそのカメラは登録する際に映るものを一人と見なす。

だからこれ以外全てが白色なんだ。」


「へぇ…。」


「だから。」


グレイドは俺に向かって指を突き付けた。


「お前一人がここまで飛んで来なければならない。」


う……。


「でもどうしたら……。」


「簡単だ。

まずは羽を広げろ。」


「こ、こうですか?」


ゆっくりと両翼を広げる。


「そうだ。

それから上下に羽ばたけ。」


グレイドは空中で羽ばたいて、
俺に同じ動作をするように促した。


上下に……上下に……。

慎重に翼を動かす。

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