《MUMEI》

子供好きで、あの綺麗な双子の弟達の写真もいっぱい集めている克哉さんだから、くるみちゃんの可愛らしい写真だっていっぱい欲しいんだろうなぁ。

(…そうだ)

クリスマスにカメラでもおねだりしてみよう、かな…。




「こっちではこれから一ヶ月間ずっとクリスマスマーケットが続くぞ」
「えっ…そんなに長く?飽きちゃったりしないんですかね?」
「ずっと昔から続いてるからな…」

ずっと昔からか…そう言われてみればこっちでは昔から続いている行事なんだっけ。

西洋のお祭りだから当たり前と言えば当たり前なんだけど。

日本でのクリスマスと言ったら、デパートとかケーキ屋さんが賑やかになって、ご近所で派手な電飾を飾る家とかが出てくる、そんなただの季節の風物詩だった。

ウチの場合、実家が華道の家元という事もあって、そんな事より冬はお正月とか色々な準備が忙しい時期だった。

母だけじゃなく知らない人達も居たりして、大人達がバタバタしている中で僕は兄と一緒に遊んでたっけ。

いや…兄は小さな僕の面倒を見させらていたんだろうな…。

いつも僕の側には兄さんが居たんだから、よく僕の面倒を見てくれていたんだなぁ。


「11月って言えば…日本では七五三ですね、こっちにもそんな行事ってあるんですか?」
「七五三か…そんな日本ほど年中行事は無いんだが、子供が関わる行事ならハロウィンじゃないか?」

…ハロウィン。

そういえばついこの間ハローウィンがあったっけ。

克哉さんにくるみちゃんの幼稚園の説明を聞いている時も、子供が仮装する行事が多いようなカンジがした。

そういうイベントがある度に、コスチュームを探し廻ったり自分で縫ったりして、親が積極的に関わっていくらしい。

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