《MUMEI》 . 春蘭さんは、フッと口元に笑みをこぼし、やんわりと答える。 「義仲の『ファミリー』だって、このくらいの武器は持っているでしょう?めずらしくもないじゃない」 義仲は、彼女の言葉は無視して、璃子を離せ、と低い声で命令した。 しかし、春蘭さんは首を横に振る。 「この子は、わたしと義仲の邪魔になるもの。目障りなのよ。だから、消さなきゃ。邪魔なものは排除しなくちゃいけないのよ」 さっぱりとした口調でそう言った彼女に、義仲は、なるほどね…と呟いた。 「それが香港マフィアの『掟』か。よくわかった」 彼はおもむろに、足元に散らばったガラス片を手に取る。 鋭利な切っ先が、妖しく輝いた。 義仲は手に持ったそのガラスを、春蘭さんの方に向けて突き出すと、低い声で言う。 「お前がそう言うなら、俺もその『掟』に従うよ」 彼の台詞に、春蘭さんは眉をひそめた。 . 前へ |次へ |
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