《MUMEI》

僕は裁縫がそんなに得意なワケではないから、くるみちゃんの髪の色に合わせて着ぐるみを探しに行った。

丁度そんなカンジな色合いのトラ猫の格好の着ぐるみがあったのでそれを着させて当日を迎えると、仲良しのミニョンちゃんも同じく髪色と同わせたようなクマの着ぐるみだった。

お互い申し合わせたワケじゃないんだけど、あの大きなジェロニモさんと顔を見合わせてお互いに笑ってしまっていた。

偶然同じような格好になってしまった二人は、仲良くお互いの手をギュッと握り合って猫やクマのような仕草で踊りながらはしゃいでいた。

その小さな二人の姿は、まるで大きなトラ猫に小さな子グマが寄り添っているようだった。

くるみちゃんはよっぽど嬉しかったのかミニョンちゃんの事を終始『可愛い可愛い♪』と言っていたけど、当のくるみちゃんも十分可愛らしい。

そんなはしゃぐ二人の姿を、ミニョンちゃんのパパは複雑な表情で見つめていたっけ…。


「…可愛いかったですねぇ、あんな行事がいっぱいあるのっていいですね♪」
「そうだな…」
「…あの…克哉さん…」

くるみちゃんがあんなに可愛い格好をしていた、という事は。

克哉さんも同じように可愛かった頃に、あんな姿をした写真があるんじゃないだろうか…と思ってちょっとだけ聞いてみた。

「俺は…した事はあるぞ、写真も…どこかに残ってる筈だ」
「えっ///…それっ、み…見たいです///」
「そんなの見てどうするんだ///」
「え、克哉さんの小さい頃だから可愛いいんじゃないかな、と思って…」

そう言うと克哉さんはちょっとだけ頬を赤らめていた。

そんなに恥ずかしいのかなぁ…。

「でもな…」

克哉さんはいつも力の入っている眉間にさらに力を込め、僕から目を反らして改めたように言ってきた。

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