《MUMEI》









「ごめんな」


「あ?何が?」




「プレゼント…なんもなくて…」




いっつも全身完璧にキマってる誠に服装だけでも釣り合う様今日着てる服を買った。

毎年、親父の冬のボーナスが出るとおこずかいっていくらか貰えてたから、俺はそれで誠にプレゼント買おうってすっかりあてにしてたのだ。

しかし今年は夫婦でクリスマス旅行に行くんだと珍しい事を計画されてしまい、俺達兄弟の臨時収入は無残にもカットされてしまった。


まあ兄貴はバイトしてるから気にも止めてなかったけど、俺はも〜目の前が真っ暗になった。

あの、本当にこんな時って一瞬暗くなるんだね、ついでに耳鳴りまでしたしさ。

そんな訳で只今俺の財布はソレン型インフルエンザでズタボロな状態。


まーそんな訳で、マックのコーヒーの無料券とか、スタバの割引券とか、イオカードの残りで小遣い日の年末まで過ごさなきゃならない。


「何言ってんだか、俺は物より真依とこうして過ごせる事の方が重要」







「…あ」






すっと顔を斜めにして誠は俺にキスしてきた。

だけどすぐに離れて、スゲーかっこよくニコッてされた。

そして俺の額に誠の額がコツリとぶつかって、ぐりぐりってされて


「それに絵貰うより無しの方が嬉しいし〜!フハハ…あんなん貰ってもな〜!」

「アハハハッ確かにあれは痛い!」


「な、しよ?」

「えーここで?どうしようかなあ…」


ここは佐伯の部屋の正面にある、なんとゲストルーム!!


約、推定20畳…でっかいバス付き…。


元は陸さんのがらくた置場…いや、主演男優賞とか、なんやらの俺達には絶対縁がないお宝置場だった。



しかし、最近、陸さんが過去の栄光なんてと豪快に処分…いや、うちの高校に自慢げに寄贈し、ここはリフォームされゲストルームへと生まれかわった訳だ。


ちなみにうちの高校で陸さんがこの高校のOBな事は知らない者はいない。

あれだけの一流俳優だ。口には出さなくたって俺達の自慢の先輩なんだ。


しかし、佐伯聖が佐伯陸の弟だという真実は今だに誰にもばれていない。


それは教師と俺達が頑なに黙ってるのもあるけど、兄弟の雰囲気の違いが一番の理由だと思う。


陸さんはかっこよくて美人って感じだけど、佐伯は小さくて可愛いだけの色気ゼロ、完璧ショタコン顔だからだ。



つか、長沢ってショタコン?

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