《MUMEI》 . 義仲からは、あの日…わたしを助けてくれた日以来、 やっぱり、なんの連絡もなかった。 でも、千影からのメールによれば、 ちゃんと、学校には行っているようだった。しかも保健室ではなく、教室に。 相変わらず、寝てばかりいるようだけれど、 とりあえず、一安心かな? −−−そんなこんなで、 家で、ゆっくり心と身体を休めていたわたしのもとに、 突然、将門が尋ねてきた………。 「千影ちゃんから、休んでるって聞いて…俺、心配でさ」 玄関のドアを開けるなり、小さな花束を手渡しながら、彼はそう言った。 彼に、こうして会うのは、あの拉致に遭った日以来だった。 わたしが花束を受け取り、心配してくれてありがとう、と答えると、彼は照れたように笑った。 「具合悪かったの?そういえば、このまえもヘンだったよね。急に『帰る』って言い出して」 彼は楽しそうに、ひとりでまくし立てていた。 . 前へ |次へ |
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