《MUMEI》
古賀久司
「バシッ!!」




























「乗って来たね。」


試合は13分を経過したところだ。


村木の調子は上がり、


速攻も決まる。


「村木先輩カッコいい…」


佑香を含めたマネージャー陣は村木に夢中だ。


この時スコアは9対7。


赤高は点差を2まで縮めていた。


(ふむ…


村木が止める一方でオフェンスはまだ乗り切れてないな。


いくら村木が止めても海南の戻りの前にそう何度も速攻チャンスも作れないってことか…


となるとセットプレーだけど…


ユキヒロと峰田もいまひとつって感じだ。


守りが固いからな。


となるとポストだけど…


このまま関谷にやらせるには荷が重くなってくる。


点を決めれないにしても向こうのディフェンスを掻き回してくれると楽になんだよな…)


ここでクロはひとつの決断をする。


「よし…


沖。


そろそろ行こうか。」


「…」


「…沖?」


返事をしない沖。


というか、


ベンチにいない。


「ん…?
どこ行きやがった?」


1年生に聞くクロ。


「あ…
沖さんならあそこに。」


1年生が指したのはベンチの後ろ。


赤高が荷物を置いているところだった。


「沖ッ!!」


怒鳴って沖を呼び寄せるクロ。


「は…はいッ!!」

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