《MUMEI》

「アキラが思ってる程、小さい頃の俺は可愛くないぞ…」
「何でですか?可愛かったですよ」
「……ぁ?!」

前にさくらさん達に呼ばれて、そちらの家に伺わせてもらった時、さくらさんに子供の頃に日本に居た時の克哉さんのアルバムを見せて貰ったのだ。

『克哉の奴、コレ見せるの嫌がるから』と言っていたけど、そこには今と同じくらい眉間に力の入った、大きくて可愛らしい男の子が写っていた。

「見たのか…」
「はい♪ちょっとだけでしたけど、あんなカンジで仮装してるのとかもっと色々見たいです♪」

克哉さんはいつも通り顔色は変えてはいなかったけど、長く一緒に生活していて分かるようになった。

その表情は、なんとなく怒ってるような…でもちょっとだけ恥ずかしがっている、というようなカンジで僕の事を見つめていた。

「…さくらさんから聞きました、小さい頃のあだ名は”ジャイアン”だったんですよね♪」
「な…///」

ただ”大きい”というだけで付けられていたあだ名だったんだろうけど、その中にあった集合写真で、克哉さんは一人だけ突出して大きかった。

周りに写っているのが日本の子達だという事もあったんだろうけど、その中でも身長は頭一つ分ほど高く、体格も一回りも二回りも大きくて、金色の髪が更にその姿を目立たせていた。

ドイツと日本のどちらの幼稚園にも通っていたらしいんだけど、どっちでも体格の良い子供だったらしい。

克哉さんらしいなぁ…。

僕なんかクラスでも小さくてヒョロヒョロしていて、フォークダンスでは女の子のグループに入ってしまうくらいだったし…。

”チビ”って呼ばれる事もあったから、写真の中の大きくて格好いい克哉さんが羨ましく見えた。

「その小さい頃の写真、くるみちゃんと似た所もありましたよ」
「どこがだ…」
「う〜ん…口元とか…かな」
「くち…そうなのか…」

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