《MUMEI》 マカはミナの後ろに眼をやった。 「おい。セツカ、ソウマ。出て来い」 「はいはい」 「こんばんわ、ミナさん」 「あっ、あなた達…」 あの夜、ぶつかった少年と青年だった。 「マカの知り合いなの?」 「正確には血縁者だ。少年の方がセツカ、青年の方がソウマと言う。まっ、深くは気にするな」 そう言いつつ、ソウマにフーカの体を渡す。 「例の物は?」 「急いで準備しましたよ」 フーカを受け取る時、ソウマは手に持っていた紙袋をマカに渡した。 紙袋の中身を確認して、マカは頷いた。 「礼は後で渡す。セツカ、手伝え」 「はいはい」 「あっ、ミナはソウマの近くにいろ」 「うっうん…」 マカはセツカを連れ、プレハブ小屋へと入った。 「…またよく活性化しているな」 「こんなに溜まっているとはね。学校って怖いよね」 マカは険しい顔で紙袋に手を突っ込んだ。 ミナやフーカには視えないだろうが、小屋の中は黒い手でいっぱいだった。 いや、視えない方がよかっただろう。 いろいろな黒い腕が伸び、渦を巻いている光景など。 前へ |次へ |
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