《MUMEI》 「…おとなしくしていれば、壊すだけで済んだのに」 物を移動する時は真昼間で、大勢の人を使った。 そして普通に壊せば、その場に溜まった気も壊せるはず―だった。 余計なことをしなければ。 アキが言い出したあの儀式。 実はその場に溜まる気を、練り固めるものだった。 このプレハブ小屋のような場所で、人が何度も行き来することにより、場に溜まっている気を練り回す。 そして強くしてしまうのだ。 「ったく…。どこで仕入れた知識なんだか」 「…言っておくけど、ボクじゃないからね」 セツカは最初に言っておいた。 前へ |次へ |
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