《MUMEI》 オレ様とのキス「あっ暑い…」 ダラダラと絶えず汗が流れる。 「オーイ! 走るから、ちゃんとタイムとっとけよ!」 「分かってるわよ!」 「んじゃ、行くぞ!」 そう言って構えるアイツ。 わたしはストップウォッチを握り直した。 「用意! スタートっ!」 わたしの声と共に、風のようなスピードで走り出す。 そして目の前を通り過ぎると同時に、スイッチを止める。 「…良いタイム出すわね」 「当然だろ?」 自信満々に髪をかき上げる仕種を見ると、イラッとしてくる。 …これでも我が陸上部のエース。 短距離走で高校記録を軽く抜いていくほどの、才能と実力がある。 なのにこの自信満々で、オレ様的性格が、どーにも気に入らない。 「ねぇ、ちょっと休憩しましょーよ。暑くて眼が回る」 「何だ、女みたいなこと言って」 「生まれて十七年! 男だった覚えは無いわ!」 怒鳴ってわたしはアイツに背を向けた。 木陰に置いてある自分のペットボトルを手に持った。 冷たい麦茶を飲んで、一息。 「ふぅ…」 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |