《MUMEI》

「あっ、うん…」

ミナに手を引かれ、マカはその場から立ち去った。

二人は葬祭会館を出ると、外の眩しさに眼を細めた。

「良い天気だね!」

「そうだね。こんな快晴なら、二人も迷わずいけるだろうね」

二人で空を見上げた。

「ねっ、マカ。ちょっと今日はあたしに付き合って」

「良いけど…どこへ?」

「んっ。あたしとアキとユマが行っていた中学。久し振りに行ってみたいと思って」

「でも学校、やってるんじゃない?」

「外から見るだけで良いの。それだけで…満足だから」

辛さを隠して言うミナを見て、マカは苦笑した。

「…分かった。じゃ、一緒に行こうか」

「うん! 案内している間に聞いて欲しいんだ。あたしとアキ達のこと」

「オッケー。じゃ、今日はとことんミナに付き合うよ」

二人は手を繋ぎ、歩き出した。

途中フーカに出会うも、互いに軽く頭を下げるだけ。

アキのことがなければ、ミナとフーカは出会うことはなかった。

つまり、繋がりは無い。

マカは少し痛む心を隠しながら、繋がる手を強く握り締めた。

決して離さぬように―。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫