《MUMEI》
ストーカーとのキス
最近、アタシには日課になっていることがある。

朝、玄関を出てすぐに。

「おはようございます」

「ひぃっ!」

…と、地面から3センチ飛び上がることだ。

アタシはゆっくりと振り返り…。

「おっおはよう。早いのね」

いつもより三十分は早く家を出たのに…。

「そりゃあもう! 一時間前から待っていましたから!」

一時間…。よし、明日は頑張って一時間半前に家を出よう。

「じゃ、行きましょうか」

そう言ってアタシのカバンを持って、歩き出す。

「ちょっちょっと!」


一つ年下の彼は、何故だかアタシに夢中。

日夜、ストーカーと化してしまった。

ううっ…!

いくら言ってもやめてくれないし、周りからはもう諦めろという声まで出ている。

別にキライなタイプじゃない。

けどストーカーは別っ!

特に行きも帰りも待ち伏せされたり、電話やメールが頻繁なのは恐ろしいの一言に尽きる!

…仮にも首席で入学してきたのに、大丈夫なんだろうか?

いや、頭が良過ぎるとアレというパターンかもしれない。

「先輩、今日の帰り、どうします?」

「えっ?」

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