《MUMEI》

うっ…! それはアタシの短所だ。

「だから俺は先輩の弱いところをついているんです。何があっても、先輩のこと諦めたくないから」

「…その為にアタシが苦しんでも?」

「ええ、俺は自分勝手な性格なんで。先輩の控えめな性格とは相性が良いと思いますけど?」

良い…んだろうか?

思わず考え込むと、彼はクスクス笑った。

「ホラ、人の言うことを素直に信じる。そんなところも好きですけど…」

そう言って、ずいっと顔を近付けてきた。

「俺以外の人にそんな無防備な姿、見せちゃダメですよ」

今まで見たことの無い真剣な表情に、心臓が痛いくらいに高鳴る。

「だから、俺がずっと側にいて、先輩を守ってあげますよ」

「いっ一番の障害って、キミだと思うんだけど…」

「言いますねぇ。でも否定はしません」

再び微笑む彼。

「でも先輩だって、俺がいたら安心でしょ? 悪いヤツには絶対に近付けさせませんから」

あっ、くらくらする…。

もういろんな意味で、考えられなくなる。

「だから先輩も、俺に夢中になって」

そして逃げられないアタシに、キスする彼。

いきなり唇を奪うなんてヒドイ…。

けれど胸が熱い。

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