《MUMEI》

「そこにやけにデカい赤いスイッチがあるだろ?」


グレイドに顎で示されて、
振り返って見てみる。


「これですか?」


キーボードのようなものの上に、
確かに赤いスイッチがついている。


「そう、それ。

俺がこの部屋を出て行ったら、
そのスイッチを押せ。

カメラが作動し出すから。」


「はい……。」


もうこれは覚悟を決めるしかないな……。


落胆と不安で、
頭を垂れてうなだれた。


「じゃあ終わったらお前も出て来いよ。」


グレイドはそう言って、
扉を開けて出て言った。


「あ、何があっても黙っておくように。」


しっかりと意味深気な言葉を残して。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫