《MUMEI》

「あれ?
どうしたの椎名くん?」


「久司いる?」


「え?
うんいるよ。
ちょっと待って。」













昼休み。


俺は久司のクラスに来ていた。


話があったからだ。













「おう。
何した?」


「何したじゃね〜よ。


お前この前試合来なかっただろ?


そん時渡された練習予定表届けに来たんだよ。」


「あ〜、
わりわり。
サンキュな。」


「何で試合来なかったんだよ?」


「ん?
デートしてた。」


「はぁ?」


「最近休みね〜からさ。
彼女の機嫌わりぃ〜んだわこれが。」


「新人戦近いんだから休みね〜のは当たり前だろ…。」


「ん、
まぁいんだ。
どうせお前が出たんだろ?
良かったじゃん。」


「…」


(ふざけんなよ…。)




























彼女が大事ってのはわかる。


別れろとか、


そんなことは言わね〜けど…


新人戦前の大事な時期の練習試合をさぼってまでデートしなくちゃならないような彼女…


なんとか両立できないもんかね?


久司に腹は立ったけど、


そんな奴からポジションを奪えない自分にはそれ以上に腹が立った。

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