《MUMEI》 . 一瞬の沈黙のあと、ウソッ!と素っ頓狂な声で叫び出す。 「だってお前、俺が告ったら、『いいよ』って…」 狼狽しながらまくし立てた清水君に、わたしは、言ったよ、と頷く。 「でも、『ただし、オトモダチとして』って、ちゃんと付け加えたじゃない」 そう答えると、清水君は目をむいた。 「あれは、『まずは友達から』って意味だろ!?」 わたしは清水君の顔を見ながら、はぁ??と眉をひそめる。 「なに勝手な解釈してんの?『オトモダチ』は『オトモダチ』でしょ?それ以上、進展するわけないじゃん」 図々しい〜と、呆れたわたしはそっぽを向いた。 わたしの言い草に、さすがにカチンときたのか、清水君は表情を険しくした。 「付き合ってないんだったら、なんでデートの誘いにのってくるんだよ!?」 「『オトモダチ』なら、映画や買い物くらい、一緒に行くでしょ」 「じゃあ、俺が『好きだよ』って言ったら、お前、『わたしも』って言ってたじゃん!アレはなんだったの!?」 「『オトモダチ』としてって意味に決まってるでしょ」 飄々と答えるわたしに、清水君は絶句した。 . 前へ |次へ |
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